この件について、本人たちの責任と家族の責任をごっちゃにして議論している人たちが多いようですが、この2つはきちんと分離して考えないと話がごちゃごちゃになると思われ。
まず本人たちについては基本的に自己責任を問うのは筋違いでしょう。(ただし、あの事件そのものが一部で言われているように本当に「自作自演」だとしたら話は別で、その場合彼らの責任は非常に大きいと思う)
そもそもジャーナリストとして「危険なところだからこそ伝えるべきことがある」と考えて現地に赴くのは至極当然のことだし、それは政府の退避勧告が出ていようが関係ない話。それでこそ政府サイドの一方的な発表ではわからない、民衆の置かれている現状がわかる、ということもあるわけだし。今回の件に絡めて、かつてベトナム戦争を舞台に書かれた本多勝一氏の『戦場の旅』を引き合いに出している方も結構多いようですが、今回の彼らの活動を批判するなら『戦場の旅』も立派な批判対象でしょう。
自分個人は専門分野が違うからイラクに行くことはまずないだろうけど、もしイラク関係の話題を扱うようなジャーナリストをやってたら、今からでもイラクに潜入した可能性は十分考えられますよ。もちろん危険率は相当高いわけですが、伝えるべきことはいっぱい転がってるわけですし。それに、今行けば日本のメディア相手に事実上こちらの言い値で商売できますしね(笑)
帰国後これだけバッシングに遭うくらいだったら、いっそのこと彼らはあのまま、彼らを拉致したゲリラに同行取材するぐらいの心意気があってもよかったかもしれないとちょっとだけ思ったりして。
強いて言えば、日本に残っている家族に「自分たちが仮に拉致されたり殺されたりしたとしても変に騒いだりしないで、その時点であきらめてくれ」と言い残さなかったことが彼らのミステイクといえばミステイクでしょうが、それを責めるのは酷だと思われ。
あと、彼らの心の中では「そもそもこっちは死ぬ覚悟で行ってんだから、わざわざ日本政府が救出活動なんてしなくてもよかったのに(=政府にお金を使わせるなどの迷惑をかけるくらいなら潔く死ぬ覚悟)」ぐらい思ってる可能性も考えるべきではないかと。今の状況ではとてもそれを口に出して言えるような状態ではないでしょうが。
一方家族については、少なくとも拉致された直後の反応については、思いっきり自己責任論で責めるべき点が多々あったと思われ。
そもそもイラクのような危険地帯に潜入するということは「そこで何が起こっても、本人はもちろん第三者も文句は言えない」ということなわけで、それに対していくら自分の家族の命を救いたい一心から出た言葉とはいえ「自分の家族を救うために自衛隊が撤退するのは当然」とまで言ってしまっては、そりゃバッシングも起きるわな、と。自分の家族がやったことで人様に迷惑かけてるわけですから、もう少し謙虚な態度を取るべきではなかったかと。
少なくとも「何とか無事に帰ってきて欲しい」ぐらいの無難なコメントに終始しておけばねぇ。現に後から拉致された二人についてあまりバッシングが起きてないのはそのあたりも関係してるでしょ。
ただ「親の監督責任」云々まで話が及ぶと、さすがにそれを責めるのはちょっと…と思ったり。
いや、あの三人の家族だって、身内がイラクに行くと聞いたら、最初少なくとも止めるぐらいのことはしたでしょ。ただあーいうときの「自分たち(この場合家族)に過失はなかった(=精一杯止める努力はしたがそれでも行ってしまった)」ことを証明するのって、裁判関係扱ってる方ならわかると思いますが非常に難しいわけで、裁判ならともかくメディアの扱いとしてはその辺を考慮してあげる必要があったんじゃないかなぁ、と。
まあ一応メディア側の末席を汚している人間として、いろいろ考えさせられることの多い事件であったことだけは確かです。
ただ一つだけ、柏村武昭さんに対しては「あなたも元アナウンサーとしてメディアの中枢にいた人間なら、拉致された方々を『反日的分子』と呼ぶのは、過去の自分の存在を否定してるのと同じでは?」と言いたいです。
#たまには技術的な話を離れて、ちょっと政治的な話も書いてみたかったり。