12/22に行われた
第3回JILIS情報法セミナーの聴講メモ。なお講演資料は左記のリンク先(JILISの案内ページ)からDL可能です(12/23現在)。
例によって内容は無保証です。あらかじめご理解いただいた上で個人の責任でご覧ください。
○板倉先生挨拶
弁護士会単位ではブロッキング反対が結構出たが二弁はいち早かった
日弁連でも調整してみたが難しかった
○中澤先生
本人として自分の話するのは初めて こんなに来ると思ってなかったww
埼玉では情報法を議論する場自体がない
プロ責法専門にやってます
プロ責法で携帯番号の開示請求に成功したのは大きな成果だと思う
今回もISP側からはよりによってお前かと思われたと思うww
23日にニュース見て、家でのんびりしてたらあらあらと思って訴状を書いてみようと思った
訴状は24日午前中に書きあげていたが、メディアに連絡して紙面の都合がついたのが26日なのでその日に提訴した
今回は対策手段が全く無い いきなりブロッキングが始まるとなった
私が普段やっていることの真逆 事前救済はできるだけ避けるべき
NTTグループが勝手にやってるのであれば放置したが、政府が名指しでサイトをブロックするというのは法治国家として危機感を持った
普段の発信者開示請求の話 NTTは一番厳しい SB/KDDIは形式にはあまりこだわらない
他のISPなら「なになにを投稿した発信者を開示せよ」で開示してくれるが、NTTは形式をきちっと守らないとダメ
通信の秘密に関係ない形で開示請求をしないといけない
普段こんなにうるさいこと言ってるのにブロッキングかよというのが正直な感覚
普段と逆のことやってやるのが面白いかなと思った
訴訟するためには「通信の秘密」を請求権に還元しないとならない
侵害するということを前提にお話をします
「通信の秘密」をダイレクトに裁判で訴えるのは難しい 憲法も電気通信事業法も民事的な請求権を定めていない
ISP契約の履行請求の形にした
ISP契約は電気通信事業法を遵守したサービスを提供する責務があるという構成
契約約款を細かく読んでも今回のブロッキングを許容する規定はない→差止請求が成り立つ?
実は児童ポルノブロッキングには規定がある
個人的には通信の秘密との関係ではこのブロッキングも違法だと思っているが、これについては許容してもいいというのが個人的意見
NTTから答弁書が来た件
差止請求権の根拠は?どの条項か?
そもそも契約から差止請求権が発生するのか?債権的差止請求権の話
細かく条文を指摘、人格権の一部をなすという観点を補足
次の準備書面(H30/8/3)
2.と3.がものすごく長く書かれていた
やっぱりブロッキングはやめたということで1.が追加されたのかなと思う
期日は8月末だったのが急に出てきた
メディアに再び声をかけて「NTTの声をとってきて」とお願いした
NTT持株の社長に対して質問→「方針は変わっていない」「やるべきときはやる」との回答
「被告がやめると言ったから差止請求の必要性が消滅することはない」←ここが一番重要
正直かちんと来た 普段は厳しいこと言ってるくせに
再反論から認諾→和解?となったがぐだぐだに
せっかくここまでやったので裁判所の判断をなんとか引き出したい
訴訟費用の負担をどちらがかぶるかを基準に正当性の判断を引き出せないか?
実際には別途訴訟費用確定申し立てをやらなきゃいけないので裁判所に嫌がられる→ただ自分は慣れていた
「訴訟を提起したからブロッキングやめたんじゃないですか」皮肉として
一審判決は通信の秘密の判断を回避 訴訟費用についてはそこまでのことではないという形
一審後のコメントはまるで原告勝訴の状態
控訴審で一審の控訴費用を直すという仕組みはない 正直この点は自分でも戦略上失敗だったと思う
ただ通信の秘密について判決で触れてくれた これでだいぶ良かった
知徳行為は一般ユーザの権利侵害になることを示してくれたのは非常にありがたい
総務省には非常にバカと言われているが、今回の件は特に総務省の方には覚えておいてほしい
○成原先生
念の為ブロッキングの仕組みを解説
控訴審 本案に関しては原判決が引用されている
本案前の主張「"妨害"では請求の趣旨が特定されていない」→「求めは明らか」
「今後ブロッキングを行う蓋然性が高いとは認められない」
訴訟費用の負担の話 第一審の訴訟費用について控訴審が変更する権限がない
原審と違う判断をする場合は変更する権限が控訴審にあるが、今回は本案については原審と同じ判断(控訴棄却)
ブロッキングの蓋然性の低下は一審のうちに起きたことなので一審に反映済み
そこで控訴審の訴訟費用はどうなる?
ただ、ここで言わなくてもいいのに言ったほうがいいということで通信の秘密について述べた
請求の特定性について
従来の判例で言えば、公害訴訟の判例で抽象的不作為請求の必要性も認められてきた
つまり、具体的にどういう防止措置を取れとの主張をしなくてもよい
果たしてURLを明示してブロッキングを要求するところまでやる必要があったか?
わざわざ海賊版サイトにアクセスしてブロックされたことを示していると取られる恐れがある
裁判官からすると心象が良くない
「ブロッキングの手段として他サイトへの通信内容を取得することを禁じる」等の請求はできなかったか?
今回のブロッキングは網羅的に通信を取得するところが問題
差止の必要性について
今回、実際にはブロッキング発表前に漫画村は閉鎖されていた
仮に漫画村が復活した場合、ブロッキングの蓋然性が認められる可能性があるのか?
通信の秘密と著作権との考量が必要になる
憲法上の「通信の秘密」を根拠に私人に差止請求ができるのか?
一般的には公権力との関係に置いて請求できるもの
電話の時代であれば「誰々に電話を掛ける」だけでプライバシーを侵害されるとは言いにくかった
今はメタデータによるプライバシーの侵害に繋がる可能性が高まっている
電気通信事業法上の義務が私法関係に及ぶのか?
私法上の請求権までもを認めたものではないと解される可能性も十分ある
NHK関係で私法上の請求権を認めなかった判例が過去にある
契約上の不作為請求権に対する差止請求が認められるのか?
必ずしもこの点は自明ではないが、競業避止義務などで差止を認めた例は一般論としてはある
本件では実体的判断はほとんど行われなかった(本案では)
訴訟費用の問題
民訴62条の件 個人的にはどちらとも判断しかねる
ブロッキング前に漫画村が閉鎖されていた点が影響する可能性もある
訴訟費用のところに裁判官の本音が現れるのではないか
通信の秘密について プライバシー権、表現の自由等
緊急避難のハードルは極めて高い、実際にはほぼ認められない
児童ポルノブロッキングと比べてもより慎重な検討が必要との判断を示した
過去の緊急避難的ブロッキングの判断とも親和的
ブロッキング立法が検討される場合の合憲性・政策的妥当性を検討する際に参考になるのでは?
政策形成訴訟としての意義が認められるのでは
○パネル
丸橋:児童ポルノのときの関係者としてコメント
直接中澤先生の裁判を左右する話ではない
正当防衛に該当する場合はブロッキングの違法性は阻却されるでしょう
その場合は契約責任問題も債務不履行責任もないという構成
民事責任が「ない」ことを説明するものなので、どのような場合に民事責任が「ある」かは説明していない
一番近い話はベルギーの案件
個人データの保護等とバランシングしないといけない
欧州は原告適格を結構厳しく判断する
各社の約款の例 利用者の同意を取るための規定を各社確認的に入れている
総務省の重要事項説明ルールにブロッキングの話は入っていない
感想 勝ちに行かない訴訟戦略というのはなかったか?
政府の決定があったから・なかったからという話があったが、制度ができるまでどんどんブロッキングするという話もありえた
代替サイトまで予防的に請求する事はできなかったか?
NTTコムは「上手に負けに行く」戦略は取れなかったか? 役員はどうせ負けても気づかない
とてもつまらない訴訟戦略という感じを持っている
裁判所の「より慎重な判断」 これ誰に言っているのか? 政府関係者に釘を差したのではないか?
板倉:やらせたという方は最近総務省の元役人になってしまったww
中澤:請求の趣旨 ここは自分でも検討してやっている
URL明示の必要性 実は自分でもまずいなと思っていた
メディア戦のような話かと思っていたので一般大衆への見え方を意識していた
海賊版サイトを見せろというやり方はイメージが悪くなるのは理解していた
しかし児童ポルノブロッキングにおける検知は日常行われている 海賊版ブロッキングの場合そこを除いて書かないといけない
結局執行の段階で判別が不可能になるのでそれは実務家としてまずいと思った
代替サイトを対象にするか よもやブロッキングをやめるとは思わなかった
第1回期日までにおそらくブロッキングが実施されるからそこでサイトを追加すればいいと思った
相手があまりにやる気がない
関係各所からサイトを追加しろという圧力はあったが、相手のやる気の無さに追加を取りやめた
成原:あくまで訴訟費用の負担の中で示されているもの
本案の話なら名宛人を明確にすべきところだが、おそらくそこまで緻密な検討は行われていなかったと思う
こちらでの解釈は可能だと思うが、直接明示はされていない 推測するしか無い
直接の名宛人はNTTコムだとは思う 裁判官の思惑もあるとは思うので、背後にいる政府への批判もあると理解する余地はある
板倉:福岡で開催されるイベントの話
中澤先生、福岡で事務所出されたと思うがISPは?
中澤:当然NTTコム 一番素晴らしいプロバイダなのでww
8月のお盆前に申し込んだのに開通したの10月 この訴訟のせい?ww
板倉:この人達ブロッキングしそうにないなと思った根拠は?
中澤:第1書面で出てきたときにびっくりしたが、その後の世の中の風向き
政府がやれと言ったのでしょうがないというところがあったが、政府が責任取らないで逃げ出したところからリスク取らない方向になったっぽい
板倉:相手方がやると言わないと認められない?
アクセス数の多寡は関係ないと思うのだが?
中澤:miomioはCDNが入っていたのがそこが止まったのでものすごく時間がかかってアクセス数が激減した
侵害品を売るなという裁判 「もう捨てた」と被告が言ったのに差止請求が通った例もある
裁判所も被告の流れを見た空気はある
板倉:憲法21条2項の通信の秘密に言及 直接適用説のように見える?
成原:あくまでこれは本案ではないので直接適用云々まで緻密な検討は行われていないと思う
従来の判例・通説 憲法学者でも世代ごとにそれぞれ立場が異なっているように思える
芦部先生 公権力にはNTTの社員も含まれると言っている 電通法は「憲法を具体化したもの」 直接適用説に近い
長谷部先生 間接適用説に近い
曽我部先生 憲法と電通法は切断して理解すべきと言っている 憲法+立法上の通信政策によるもの=電通法
元々は電電公社→民営化されたという世代と、元々民間の電気通信事業者が当然という世代で理解の仕方が違ってきた
学説でもグラデーションがある
直接適用は電気通信事業法を通じて憲法の趣旨を取り込んでいく? 判例・通説でもコンセンサスはない
直接適用説に立っているとまで断言はできない
丸橋:ISPは「憲法21条を受けた」という表現に洗脳されている
公法的なところ 通信の秘密を直接守らなきゃいけないという話は当然ある
民事上どうなのか 直接適用ではないけれど憲法解釈上当然守らなきゃいけない人格的権利ととらえている
板倉:ISPは憲法?電通法?
中澤:明示は言ってないが「電通法に違反できない」というスタンスでいつも聞いている 憲法の人格権侵害としては聞いていない
板倉:高裁のまとめ方が面白い
2pの12行目 「本件契約(又は人格権~」のところ
間にプライバシーが入っている?
中澤:個人的にはプライバシーは入っていないという認識
表現の自由の一形態と書かれているので
憲法13条が間に入るかは書き方次第だが、人格権に基づく差止請求権が発生すると思っているが、念の為約款も根拠にした
なのでカッコ書きがあるという認識
成原:少なくとも人格権、人格的利益に基づく差止はそもそも私法上のものではないかというのが自分の理解
実務家としてそういう発想が成り立つのか?むしろ警戒されるように思える
中澤:削除開示業界は若干特殊
私法上の条文がないので憲法13条まで戻らないといけない 憲法訴訟率がものすごく高くなる
不法行為上の損害賠償なら民法709条で片付けられる
板倉:むりやり条文挙げてる裁判例もなくはない
占有訴権の条文 所有権も条文がないので占有権で行くしか無い
丸橋:欧州人権裁判所 欧州人権条約の条項に基づき、私人の提訴適格は認めるが直接の被害者しか認めないぞ
板倉:検閲の禁止との関係 電通法はむしろ検閲禁止なんじゃないか 林紘一郎先生の主張
東京高裁も「検知行為が実行され」と言っているので検閲寄り?
成原:今年夏の情報通信学会で元の報告が出たのでコメンテーターさせていただいた
表現の自由・検閲との関係を重視するという点では共感するところが多いが、判例では明確に意識されてこなかった
通信の秘密との関係を言ってくれただけでも満足しなきゃいけない それ以上はちょっと欲張りすぎ
学問上では表現の自由との関係は問題になりえて、事前ブロックなので事前抑制に近い性質を持つのは事実
判例における検閲は行政権が主体になる 空港の税関検査すらも検閲には当たらない
今回は私人が主体 背後に行政がいるとはいえ微妙
思想内容を対象としているかというとこれも微妙 著作権侵害は形式的判断ともいえる
海賊版サイトは既に発表済みの内容を載せているだけ 発表自体が禁じられていないのでこれも当たらない
網羅的・一般的かというとこれもどうもそうではなさそう
発表前の審査でもない(既に発表済み)
なので狭い意味での検閲には当たらないが、北方ジャーナル事件の事前抑制には当たるかもしれない
公表語ではあるが相手に届く前に事前的に抑制されてしまう しかも不透明になりがち 機能的に事前抑制と判断される可能性はある
欧州でのオーバーブロッキングの問題も指摘されているが、今回東京高裁はそこまで言ってなかった
板倉:名誉毀損の検索結果削除の話がその裏返しになるのでは?
中澤:削除請求は「一度出てるからいいじゃないか」と言われることはあるが「全ユーザに届くまでにブロックする」という意味で「事前抑制的な側面は否定できない」という判断もある
板倉:人格権と財産権の話 間に色々あると思う
児童ポルノは本人が請求することを期待できない(そもそも未成年)、次にリベンジポルノなど
価値レベルの意識はある?
成原:価値序列を示しているという見方は可能だとは思う 人格権と財産権に価値序列を設けている?
ただ裁判所が特定の立場を取るところはある どちらが上かは論争があるので
精神的権利と経済的権利の関係にも通じる 実体的価値よりもプロセス重視で二重の権利論が出てくることはある
もうちょっと機能的な観点からも理解するべきでは 事後的に責任回避が可能かという立場から理解することもできるのではないか
丸橋:欧州では児童ポルノはほぼ全域でブロッキング認めている 違いはない
被害回復可能性、憲法的価値にしろ リベンジポルノで線引くしか無いのかなと思っている
中澤:営業権侵害はそもそも削除請求権が立たない
線を引くならそこと知財の間
児童ポルノは立法すればOK、リベンジポルノは微妙 児童ポルノは関係に関係なく違法だが、リベンジポルノは「それっぽいAV」もある
そこの判断に裁判所が関与する必要があるし、名誉毀損になるともはや第三者は判断できない
森亮二:今回の判決は非常に素晴らしい判決だったと思っている 中澤先生ありがとうございました
技術的な話になるが 根拠は人格権、不法行為、条理みたいな話になっているが
契約だとダメという話 債務不履行を封じるための差止がだめということだと思うが
刑訴選択だったので民訴には弱い
中澤:債権的な差止が可能なものと不可能なものがあるという認識
排他的権利を含むのかどうかがその境界になると思っている 事後の金銭賠償で済むかどうかというところ
人格権に対しては差止ができる性質の契約だとして訴訟した
成原:結局人格権によっかかる 直接人格権を根拠にするのとどう違いがある?
中澤:直接言っても良かったかもしれない ただ上段から行って裁判所に「お前帰れ」と言われるのを危惧した
再抗弁で人格権をその時出した
板倉:人格権の差止請求で負けたことがある 競業避止義務で契約に基づく差止請求で認められてしまった
板倉:アクセス警告方式の話 結局すぐにはやらないという話になったが
これも著作権との関係では慎重に判断しろということになるのかなぁ
中澤:表現の自由との関係ではだいぶ制限的な話かなぁ
一般ユーザの観点からは検知が入った段階でブロッキングと差はない
アクセス警告方式もダメという趣旨の判決と読めるのではないか
高木浩光:「海賊版サイトを見たいからという理由で訴えるのは筋悪」という意見に反対
どういうサイトが問題かを確認したくてもアクセスできなくなるという点こそが問題だと思う
その理屈で言った場合に裁判がどうなるか
通信の秘密をプライバシーで捉えるのはどうか むしろ検閲の問題と捉えるべきだと思っている
確認したいと思ってもそれすらできなくなるのは検閲ではないのか
「検知」の話 仮にDNSエントリから漫画村を消すだけなら検知すら必要ないのでプライバシー侵害ではない
ただ一方で検閲ではあるので通信の秘密を侵害しているとは思う
そのような構成の場合 「検閲」といった場合に裁判ではもっと限定的な話としているようだが
利用者がリクエストをしたものを途中で止めているので出版とは違う 手紙出したものを途中で捨ててるようなもの
成原:本音を言うと 純粋理論的な立場では全て賛成
実定法学者のはしくれなので 通説的な立場ではなかなか難しいのではないかというのが思うところ
本当に違法かどうか確かめる必要があるという点 個人的には賛成
事前抑制の問題の一つは「その規制が妥当かどうか検証する」ことが困難になる点
ブロッキングのような現代的な事前規制にも当てはまる
元々アーキテクチャによる規制を検討してきた 個人の自由を事前に抑制する効果を持っている
日本の従来の判例の立場からするとそれを憲法違反というのは難しい 通信の秘密の侵害として構成したほうが勝ち目があるというのが理解
通信の秘密よりも検閲の問題じゃないかという点も理論的には同意 しかし各国の法令・判例の蓄積を踏まえて対応していくべき
日本法のもとで表現の自由を実現するには通信の秘密で対抗するのがよいのではないか
逐条解説でも通信の秘密について独自の役割を捉えているものが少ない
板倉:NTTはIP直打ちすりゃいいという反論はしている?
中澤:確かにしている
一応「なんでいちいちwhoisしなきゃいけないんだ、俺は客だ」と言ってみた
仕組み的には検閲のほうが理解しやすいとは思うが、検閲にすると被害者は海賊版サイトの運営者になる
高木:閲覧したい人のリクエストを検閲しているというのでは?
成原:芦部先生もそれは言っているが通説的ではない
高木:過去に例がないだけじゃないの?(イラッ
成原:チャレンジして見る価値はある
丸橋:実務上意識はされていない
玉井:訴訟費用の点でガシガシ言ったからこそこの判決が出た そこの訴訟戦略には敬意を評したい
ただ完全にこれ傍論 言わなくてもいいことを言ってみた状態になっているのであまり大きな意味を認めるのはどうか
あまり不毛な議論はしないほうがいい
「より慎重な検討」霞が関的には「やらない」という意味
私は知財屋の立場からはブロッキングは絶対にやるべきという意見なので「どう実現するか」を考えたい
外国のサーバから出てくる情報は止められない、国内のサーバからはライセンスを払うとなると競争政策上日本が不利
ぶっちゃけNTTコムのnetflixのことを言っている
どういう形ならブロッキング法制が容認されるのか?
板倉:現行で訴えたらどうなる?ブロッキング請求やってみたら?
中澤:一回やってみてもおもしろいかもしれない 誰かやるという話をしてた気はする
おそらく特定のISPを訴えても「うちがやっても意味ない」として逃げられるので
国内の全ISP訴えるとしたら800社ぐらいある? 一括で中央で受けてくれるところがないと
成原:立法論として 緊急避難構成でのブロッキングは認めがたい
立法によるブロッキングを否定する立場ではないが、どのような要件であれば認められるかはまだ
実体的・手続き的要件を両方詰めていく必要がある
実体的要件 権利侵害が現在行われている、切迫している、重大性、補充性、代替手段など
福岡県警・福岡地裁も補充性のところで頑張っている 漫画村問題でも刑事訴追を通じた対応が現実的なものになってきた
USでdiscoveryをつかった方法も出てきた 補充性のところの判断が変わって来る可能性がある
補充性要件を認める範囲が狭まってきたのではないか
司法判断を介する場合、行政機関、自主規制など 大きく3つに分かれる 行政判断だと検閲との関係で問題になる
司法判断を介したブロッキングを立法するとなると、判断は裁判所の判断に依存することになる
東京高裁は裁判官の常識を示したものということは言えるのではないか 一つの手がかりにはなる
ブロッキング立法をしたからといって簡単に認められるかは疑問
玉井:憲法に詳しくない人間からすると、著作権侵害なのにブロッキングできないのはおかしい
権利救済を拒否しているのでは法治国家とはいえないのではないか
板倉:破産者マップの件 今亜種がいっぱい出てきている
著作権侵害で儲けようとするところはだいたいCDNかましてくるが、破産者マップは情報が軽いので防弾ホスティングで十分運営できてしまう
丸橋:児童ポルノは業界としてほぼみんな納得してやっている ルーティンも作れた
そこまで著作権侵害に対してやらなきゃいけないのか
「国が費用出せ」と言った国も欧州にはある
補助線の話は重要で、「アメリカまで行かなきゃいけないのはおかしい」というが、CDNへの権利行使をちゃんと考えないといけない
伊藤弁護士:緊急避難がいいとは思わないが、あのとき何が起きていたのかを考えないといけない
月間何千万というアクセスが有って、印税が一律2割減という状態になっていた
幾何級数的にはこれが増えるとなると漫画家が離散するという状況が目の前に見えていた
今落ち着いている時期に要件を作っていかないと、また同じことが起きたときに漫画家が半分になったというのでは困る
児童ポルノと著作権侵害の扱いが違うのはわかる
ロボットによってURLからIPを検索する、それ以外は捨てるというようなものの侵害
アクセスしたら何十万という著作が見られるという侵害 それを比較して実体的考慮をすべきなのでは
アクセスが減少してるからブロックしなくてもいいよね、多いから甚大な被害が起きてるよね、という立場もある
板倉:必要性の問題 侵害が多い・少ないのが差止の必要性になる
net上に存在してるだけで問題になるのであれば、アクセス数の多寡は関係なくなる
被害の大きさを立証するとなるとそちらのほうが大変なのではないかと思った 具体的な被害額の立証性が厳しい
限定提供データの差止との関係 そこも実際にはうまくいかないと思う
やるなら絶対仮処分が必要だし、海外にいるというだけで一年ぐらい得する しかし仮処分となるとハードルは上がる
伊藤:代表的な数社に回処分取れば、それで他のISPに対しても合法になるような法制度を検討すればいい
板倉:日本の常ですけど「なにもないときにはやらない」
成原:一般論としてはおっしゃるとおりだと思う
単に通信の秘密vs著作権という話だけではなく、具体的利益考慮が必要というのは同意ではある
著作権が単なる財産権だけではないというのは確かに一理ある 幸福追求の権利とも関わってくるのはそのとおり
しかし表現の自由との関係も重要ではある
本当にブロッキングしか手段がないのか、そこは疑問の余地がある
私の知る限り、実際にブロッキングが行われたわけではない
しかし政府の動きを受けて各セクターがそれぞれできることをして今に至っている
政府が本気の動きをしたのでこうなった ブロッキングありきではないと思っている
あくまでブロッキングは対処療法であって本当に悪いやつを捕まえているわけではない 本来は悪いやつを捕まえるのが正攻法
関係各所の利益を守るためにはその正攻法を忘れてはいけない
伊藤:社会的抑圧になって今のところうまく行っているのは事実
緊急時用の薬だけは用意しておかないといけない 使わないで済むのが望ましいとは思う
板倉:検索結果削除も全然認められない ブロッキングも認められないとなると意味をなさない
かなり大変だろうとは思う ダウンロード違法化は今まさにもめているので
総合的対策は今後やっていくという話にはなっている
森:私はそういう要件論には反対 絶対どこで始めても冷静なことにはならない
国内は差し止めできるが国外は差し止めできないということはもちろんある CDNへの権利行使ができることが前提だが
それは著作権だけじゃなくてあらゆる権利がそう
通信は今や全て機械で行われている 日常的に裁判所は目前にして開示請求等をやっている
そのような裁判官が高裁のp.3のようなことを書いている 条文をわざわざ引用している
実務上生活が成り立たなくなるということがあるのはわかる
しかし裁判所がカテゴリ的判断が必要だと考えている
どうしてもそういう判断が不可欠だと日頃の業務から判断していると認識すべき