実に半年以上ぶりになるBlogですが、最近はプライベートでいろいろありまして…。詳細は書けませんが、そのせいでライターの仕事も半ば休止状態になってます(最後に記事書いたのがコンピュータ将棋選手権の取材で、それ以来1ヶ月以上記事書いてない)。むしろ最近は久々にコード書きがメインになっているわけで。
と言いながらもふとBlogを更新する気になったのは、
こんな記事をたまたま読んだため。要は「AFPBBの原稿料が安すぎるのでBlog連載を降りる」という話なんですが、私も一応「テクニカルライター」を名乗っている以上は身につまされます。
確かにWeb媒体の原稿料は、紙媒体に比べ全体的に安いのは事実ですが、我々の業界(パソコン雑誌)の場合その紙媒体(雑誌)自体が続々と廃刊に追い込まれていて、Web媒体に活路を求めなければ生きていくのも大変なわけで。
しかしここでテクニカルライターにはもう一つ問題があるんですな。というのは「本職の研究者の人たちの方が安く記事を書いてしまう」という問題です。
例えば、最近だとネットのセキュリティ関連の解説記事なんかを書いて欲しいというリクエストを受けることが多いわけですが、我々専業のテクニカルライターがその手の記事を受けるとすると、A4版1ページで2~3万円ぐらいが相場です(パソコン雑誌業界はなぜか字数ではなくページ単位で原稿料を計算するのが一般的。Webの場合はだいたい同じか若干安い)。
ところが、ネットのセキュリティ業界というと、実際に現場でWebアプリを開発されていたり、大学でその方面を専門に研究されていたりする方も少なくないわけですが、専門誌がこの方々に原稿を依頼する時の相場はだいたいA4版1ページで1万円以下です。というのは「(この方々にとって)原稿料は確定申告時の「雑所得」に当たるので、あまり原稿料が高すぎると処理が面倒」とか「(特に企業に勤務している人の場合)原稿料が高いといわゆる「副業禁止規定」に引っかかる恐れがある」といった理由があるので、原稿料が安いほうが執筆者にとっても都合が良かったりするわけです。(パートの主婦が「扶養家族控除のため年収103万円を超えないようにする」のと一緒)
いくら我々専業ライターが頑張っても、専門知識では本職の研究者に叶うわけも無く、しかもそれらの人々の方が原稿料が安いとなると、経済原理から言ってこちらへの発注が減るのは当たり前の話。それでもこれまでは「媒体数に対し記事を執筆できる人間の絶対数が足りない」状態でしたので何とかこちらにも仕事が回ってきましたが、最近は媒体数が減少傾向にあることから、いよいよ研究者とガチンコで戦わなければならなくなってきたわけで。
専門知識を要求される分野だけに、記事執筆にはそれなりに経費もかかります(ITUやIEEEのドキュメントの多くは有料でないと手に入りませんし、動作検証用の機材を自腹切って購入することも少なくないです)。研究者の方々は会社の経費でそれらを調達することもできるでしょうが、我々はたいてい自腹です(たまには出版社が経費負担してくれたりしますが…)。逆に本来有料のテクニカルセミナーに「取材」ということで無料で入れていただけたりすることも多いのでそのへんはおあいこかもしれませんが。
こういうことを書くと「本当にクオリティの高い仕事をしていれば、高い原稿料でも仕事は来るはず」「専業ライターとして本職の研究者以上の知識を持っているのが当たり前」などといった批判も当然出ると思いますし、実際仕事が減ってるのは私の力不足によるところも大きいと思いますから、それに対しては弁解するつもりはありません。
ただこういう環境だと、いわゆる「技術ジャーナリスト」という存在が日本では育たなくなってしまうのでは、という危惧はあります。少なくとも今の環境でテクニカルライターをやるくらいなら、同じ知識を持って何かコンサルティングなりエンジニアなりやるほうがよっぽど儲かりますし、ページ1万円以下の原稿料しかもらえないとなると、生活は何とか維持できても技術レベルを維持するのはかなり困難です(泣)。
これだけ世の中に高度な技術を用いた製品やサービスが溢れている以上、フリーの技術ジャーナリストの必要性はむしろ増していると思うんですが…。
なんかまとまりがなくなってきたのでこのへんで。